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虫干し [日々のこと]

 

 今日の東京はどんよりした肌寒いお天気で夕方から冷たい雨になりましたが

 2週間程カラッとした秋晴れが続いたので着物を虫干ししました。

 着物は着る機会がほとんどないので2畳程のクローゼットの一番奥に追いやられています。

 桐の衣装箱に入っているのでカビの心配はないのですが、ちょっと湿気臭いです、苦笑。 

 着物ハンガーが1つしかないので、順番に一枚ずつ陰干しして風を通しました。

  s-P1120016.jpg  

 せっかくなので私の一番のお気に入り、加賀友禅の黒留袖を紹介。

 女性の作家さん、北田弓子さんの手書き友禅です。

 

 加賀友禅は写実的な草花模様を中心とした絵画調の柄が描かれています。

 華麗で雅な図案調の京友禅と比べると

 落ち着きと優しさが美しく表現された武家風の趣があります。

 (姉の留袖は京友禅で御所車に刺繍や金箔が施され華やかでそれもとっても素敵です。)

 色彩は「加賀五彩」である藍、臙脂(えんじ)、黄土、草、古代紫を基調とした暖かな色使いです。

 京友禅は花びらや葉の模様を内側から外側へぼかしてありますが

 外側から内側へぼかす「先ぼかし」という技法を使っているのも加賀友禅の特徴の一つです。

  s-P1120019.jpg     

 私の着物は椿の花をメインに裾の方に松竹梅が流れるように描かれています。

 どうして松が青いのだろう?と思いましたが「加賀五彩」の藍色で表現されています。

 ぼかしも「先ぼかし」になっていますね。

  

 えっ!虫喰い???

  s-P1120097.jpg 

 本当の虫喰いではありません。

 こちらも加賀友禅の特徴で和様美の中でのわくらば(病葉)の美の表現が

 虫喰いという手法になり模様のアクセントになっています。

 葉が変色し黒い点々になっているのが虫喰いです。(写真では2箇所あります)

 

 自然美を巧みに表現した加賀友禅、とっても素敵なので一番のお気に入りなのです。

 ちょっと、いえ、かなり派手ですが・・・

  

 

 

 

 

 この留袖は結婚が決まって一番最後に買った着物です。

 母と姉の3人で見に行ったのですが、私の目に止まったものは加賀友禅でした。

 最初は優しい色調で好みの柄ものを何点か着てみたのですが顔映りがいまいち。

 洋服なら自分の好みのもの=似合うものですが

 同じ黒でも柄行によって顔映りがまったく違ってくるのが着物選びの難しいところです。

  s-P1120020.jpg  

 するとお店の方が正面にかかっていたとっても派手な留袖を指差し

 「これなんか似合いはるんとちゃうやろか~」と。(おもいっきり関西弁です)

 三人同時に倍速で首を横に振りながら「それはちょっと・・・」汗。

 「着てみるだけでも着てみはったら~」と言われ渋々袖を通したら

 なんとこの派手な留袖がとっても良く似合いました。

 自分でもびっくりでしたが、母も姉も目を丸くして驚いていました、苦笑。

 さすがお店の方はプロですね。(着るとそれほど派手ではないです)

 結局この着物を買ってもらいました。

 留袖を見るとその時の母と姉のびっくり顔を思い出します、笑。

 

 当時はあたりまえのように嫁入り道具に着物を揃えてもらいましたが

 こうして着物を広げると両親の愛情を感じ感謝の気持ちでいっぱいになります。

 もっと親孝行しないといけないな~と痛感した今年の虫干しでした。

 

 

 


タグ:着物 虫干し
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コメント 7

march

留袖 ステキですね~
京友禅の方が ハデって言うのが納得
私の 振袖がそんな感じでした (笑)
自分で着付けもできないので 嫁入り仕度に着物は作ってもらわなかったけど・・・今 欲しい気分です
でも 着る機会もないしなぁ~ 


by march (2009-10-26 11:35) 

mei

やっぱりmassaさんは素敵な御家族の中でお育ちなのですね(^^)。
blogからもお人柄が伝わりますもの~♪
by mei (2009-10-26 13:47) 

massa

marchさん、こんばんは。
加賀友禅、とっても素敵でしょ。
京友禅は公家の文化なのでとっても華やかできらびやかです。
振袖は着れる期間が短いので華やかな京友禅がぴったりですよね♪
実は私も着付けはできないので宝の持ち腐れです。
特に留袖は着る機会が限られていますし・・・
いつか着付けを習って、紬などさらりと着こなせる
素敵なマダムになりたいものです。

子育てで有名な神社が近くにあり、お宮参りの方が多いのですが
着物で来られる方がほとんどいらっしゃらないのがとても残念です。
地方へ行くと「乗って残そう○○鉄道!」というのをよく目にしますが
日本の伝統美「着て残そう○○友禅!」と言いたいです。
このblogを見て着物を着たいな~って思って下さる人が増えれば
嬉しいなと思い、微力ながら加賀友禅を紹介させていただきました。
うふふ。marchさんは私の思惑通りでしたね、笑。
着物に限らず、日本の素晴らしい伝統工芸品
後世までずっと残って欲しいな~って思っています。

by massa (2009-10-26 19:05) 

massa

meiさん、こんばんは。
全然素敵ではないですよ。主人には漫画に出てきそうな家族だと
笑われています。
ごくごく普通のサラリーマン家庭ですが
関西には着物文化があるので嫁入り道具に着物をあつらえるのが
一般的なのです。
関西人は見栄っ張りなところもありますし、華やかなことが好きなので
嫁入り道具には力が入ります。
父親はまったく興味がありませんが、母親はあれも買わなあかん!
これもせなあかん!などなど本人以上に舞い上がって忙しいのです、笑。
着物の他に婚礼布団、婚礼箪笥、鏡台、食器棚など揃えたがります。
箪笥、鏡台、食器棚はライフスタイルに合わないので買いませんでしたが
嫁入り道具は鏡台を一番最初に入れないといけないそうで
仕方なく鏡台の代わりに大きめの姿見を買いました。
ヤマトさんに新居へは鏡を一番に入れるよう何度も言っていました。

結婚式の1ヶ月前の大安の日は近所の方や披露宴に招待している
親戚もお祝いをもって来られます。その時に嫁入り道具をお披露目するのも
楽しみの一つのようです。なんだか面白いでしょ。
私は比較的少なめでしたが、全ての荷物に紅白のリボンをかけました。
関西ではトラック1~2台分の嫁入り道具は珍しくはないです。
そういえばこちらでは紅白のリボンがかかった嫁入り道具のトラックを
見たことがありません。
名古屋はトラック3台分だとか・・・
その他に日本人形などなど色々風習があります。
関西人の嫁入りで本を書けるかもしれませんね、笑。

by massa (2009-10-26 19:34) 

massa

xml_xslさん
MORIHANAさん、こんばんは。
nice!ありがとうございます。

by massa (2009-10-26 19:36) 

march

massaさん 関西人だったんですね
meiさんへの返信を 読んで 思わず笑っちゃいました

私も 関西人ですが 姉の「嫁入り」が 
まさに書かれている そのものでした
結納品は 床の間に 飾ってあったし(笑)
うちのあたりでは 箪笥に 着物を入れておいて 
着物も見てもらうんですよ~
トラックは 絶対バックしたら ダメなんですよね 
縁起が悪いとか・・・ 道を間違えたら もう一周してくるんですよね
私の子供のころは お式の日 家で支度して 花嫁が玄関に座っていて
近所の人が 見に行ってました
そして お菓子をもらって帰ってくるんです
 
やっぱり 関西人は見栄っ張りなんでしょうかね 笑
by march (2009-10-27 10:56) 

massa

marchさんへ
そうです。なにわです、笑。
私も嫁入りのことを色々思い出したら面白くて・・・
ついつい長々と書いてしまいました。
着物も箪笥はありませんでしたがもちろんお披露目しましたよ♪
関西人は見栄っ張りですが気前も良くて気持ちがいいです。
人もあったかいですしね☆

by massa (2009-10-27 20:36) 

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